3月11日。すべての人に思い出してほしい日
2011年3月11日。東日本で発生した地震と津波で、たくさんの方が、亡くなりました。
多くの、大切なものを失くしてしまった方々に、心よりお悔やみ申し上げます。
震災の教訓を、ご自身のキャリアやスキルの向上に生かす
震災のように、もし、あなたのお仕事や生活で「想定外」の出来事が起こった時、どうすればいいでしょうか。
その時はまず、驚きや絶望に、巻き込まれることなく、沈着冷静に動くために、日頃から、ご自身の生き方とか行動について、想定外の出来事が発生した時に備えて、準備しておくことが、大切だと感じます。
「想定外」は本当に想定外なのか
仕事環境が安定している時ほど「何かが起こった時のこと」を想定しないものですね。
しかし、その態度には大きなリスクが潜んでいることがあります。
「今の仕事を続けていて、その先もエンジニアとしてやっていけるだけのスキルや経験が身に付くのだろうか?」
「今はそれなりに案件があるけれど、継続して受注をもらえるのか?」
震災以降、多くのエンジニアからこのような言葉を聞きました。それぞれ心配することは違いますが、これらの発言には「これまで当たり前だと思っていたものが一瞬にしてなくなる」ことへの気付き、対処法の模索がうかがえます。
さて、震災以降、最もよく聞いたキーワードの1つが「想定外」です。
確かに、これほどの規模を想定して日々を過ごしていたという人は多くないでしょう。
しかし、「想定外」という言葉を言い訳にしている人々がいるのも事実です。
本来ならきちんとリスクを見積もり、さまざまな対策をしなければならないのにそれを怠り、問題が起こってから慌てて対応する・・
震災が発生した以降、仕事の現場でこのような姿を多く見てきました。
キャリアづくりについても同じことが言えます。
現状が安定している人ほど、何かが起こったときのことを考えずに、漫然と仕事をこなしてしまいがちです。
しかし、「今考えてもしょうがないから考えない」という姿勢には、大きなリスクが潜んでいます。
ご自身の、キャリアづくりにおいて「想定外だ!」と嘆かないために、ご自身の発送や行動に、ビューチェンジをかけましょう。
仕事に恵まれている。でもそこに感じる不安とは
Aさんは、ITサービス会社に勤務して15年目のベテランSEです。
顧客の情報システム部門に常駐して、基盤システムの運用管理の仕事をしています。
趣味はテニスで、学生時代はテニス部のキャプテンを務めていました。同僚や顧客先からの評判はとても良く、何か仕事のトラブルを抱えているわけでもありません。
順風満帆に見えるAさんですが、当の本人は「自分のキャリアに不安がある」と不安な様子。
「15年間、良い人や環境に恵まれて仕事をしてきました。でも、この恵まれた環境が問題なのではと感じているのです」
「恵まれている」ことが問題……一見うらやましい限りの悩みですが、Aさんは真剣です。Aさんはここ10年近く、ほぼ何も大きなトラブルがなかったことが問題ではないかと考えています。
Aさんは、地震発生後しばらく、テレビで震災状況を見ていたそうです。
「家やビルが、一瞬にしてなくなってしまう姿は衝撃でした」――「どんなに頑丈に作り上げたものでも、一瞬の出来事で破壊され得る」「今までは問題がなくても、それが継続するとは限らない」ということに、Aさんは気が付いたそうです。
現状は特に問題がない。これは、これからも問題は起こらない、ということではない
Aさんの仕事や生活は特に問題がなく、恵まれています。
しかし、現状がこれからも続くとは限りません。安定している期間が長ければ長いほど、変化への対応は鈍くなります。
「想定外とは、想定していないことへの言い訳にすぎない」
いつ来るか分からないことについては考えないでおこうというスタンスではなく、何かが起きてもすぐに対処できるよう備えておきたい。
Aさんはそう考えるようになったと言います。私たちは常にこのことを意識しておくべきでしょう。
「現状は特に問題がない」というのは「これからも問題は起こらない」ではない、ということです
安定に慣れ切っていないか? 自分の仕事に隠れているリスクをチェックしよう
以下のチェックリストでは、「あなたがキャリア(今、従事している仕事)において現在、抱えているリスク」を判定します。まずは、自分がいくつ当てはまるか数えてみましょう。
■3年以上、同一の顧客を担当している
■3年以上、同一の仕事をしている
■3年以上、自分の周りの上司や同僚も同一の仕事をしている
■3年以上、会社が同一の組織や体制を維持している
■3年以上、自分の職務や職制(担当や主任、主席、主査、課長など)が変化して
いない
■3年以上、昇級や昇格がない
■3年以上、課長やグループリーダー(管理職)のアドバイスが変わっていない
■3年以上、上司との目標面談が短時間で終了する
■3年以上、論文や経験事例を提出していない
■3年以上、昇進や昇格、資格の試験に合格していない
あなたはいくつ当てはまりましたか?
自分のキャリアに隠れたリスク。把握したあと、どうする?
上記の項目に、チェックが付けば付くほど「キャリアのリスクが多い状態」です。
「ここ何年間」も同じ作業を続けるということはすなわち、作業を取り巻く環境(人や仕事、技術、景気、お金など)が、ほとんど変化していないということです。
しかし、この「変化なし」を前提に物事を考えるのはリスクが伴います。
なぜなら、物事は変化するものだからです。
「この状態は変化し得るものだ」という前提で仕事をする場合と、「これからもずっと安定してこの状態が続く」という前提で仕事をする場合では、いざ何かが起きたときの立て直しに雲泥の差が出ます。
使えます。想定外と言わないためのビューチェンジ手法
何かが起きた時、「こんなのは想定外だ」と片付けてしまうのは簡単です。
しかし、それは思考停止に他なりません。
この考え方は、キャリアでも同じです。
毎日、日々のルーティーンの作業を「なんとなく」行いながらも、それが崩れる事態を想定し、「崩れても建て直しやすい体制」を作って実行することが大切です。
そのためには以下のような「なんとなくビュー」から脱却する考え方をすることが有効です。
とにかく「なんとなくビュー」から脱却する
(1)「手順の見直し」して脱却する
今の仕事に「やらされている感」があるなら、仕事の手順に見直しをかけましょう。
「先輩はこうやっていたけれど、もっと効率的な方法はないか」「本当にこの手順が最適なのか」「今やっている仕事は自分に適しているか」「今のスキルを別のところに生かせないか」
手順の見直しは、やがて自分の仕事スタイルを考えることにつながります。自分で考え、自分が作ったという実感がある仕事はモチベーションが上がります。
(2)「目的を見直し」して脱却する
なぜ自分はこの仕事をやっているのか理由が見えない・・
今の仕事に「不透明感」があるのなら、仕事の目的を見直しましょう。
目的なき仕事は、ただの「作業」でしかありません。
この作業は何のためにやっているのか。自分は「何をつくる」ために仕事をしているのか。
顧客が本当に望んでいるものは何か。
そして、自分は何のために仕事をしているのか。慣れている仕事ほど作業に意識が向いてしまい、作業の目的にまで思考が及ばないものです。
「この仕事の目的は何か?」と言われたときに即答できない仕事をなくしましょう。
(3)「リスクの見直し」をして脱却する
今の仕事に「場当たり感」があるのなら、仕事に隠れているリスクを見直しましょう。
安定して慣れた仕事場では、「これやっといて」「はい」と、なあなあに仕事が進んでしまいます。
しかし、慣れているからこそはまる落とし穴もあります。
「何も考えずに仕事ができる」「仕事の改善について真剣に考えている人がどこにもいない」
職場にこのような空気が蔓延(まんえん)している場合、それはリスクと考えてよいでしょう。
職場の改善に取り組むのも良し、いっそのこと職場環境を変えてみる(異動願いや転職など)のもいいかもしれません。
ご自身の行動や考え方を、常に見直すことが大切
現状の状態に甘んじることなく、今あなたが従事している仕事内容やミッション、働いている会社や事業形態などについて、常に見直しをかけましょう。
そして「なんとなくビュー」から抜け出す行動を起こしましょう。
※ここまでの出典・樋口研究室著「想定外と思考停止せず、キャリアに潜むリスクを見直す」。
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