コロナ禍後の仕事のやり方に緊急事態が発生中
2023年5月、新型コロナウィルス感染症が五類に分類されて一年が経過しました。
多くの会社では、緊急事態宣言下で導入された在宅勤務が解除され、現在は元の働き方に戻りつつあります。
しかし、この変化に伴い、様々な問題も発生しています。
会社に出社しない社員が続出
2020年4月の緊急事態宣言以降、多くの会社は社員に在宅勤務を許可しました。その後、2023年5月のコロナ五類移行後も、各社の在宅勤務への対応はバラバラです。
多くの会社は社員全員に出社を指示していますが、週3日~4日出社、1日在宅勤務を可能とするなど、在宅勤務を業務改革に取り入れる企業も増えています。
しかし、会社から出社指示を受けているにもかかわらず、全く会社に来ない社員も存在します。樋口研究室の調査によると、その理由としては、通勤時間の無駄、自宅で事務所と同等の品質で仕事ができる、他の社員も在宅勤務を続けているなど、自分勝手な事情が挙げられます。
一方、出社しない社員には、残業時間の減少による家賃支払い困難、定期券の支給がない、昼夜の生活リズム逆転による体調不良、会社メンバーの名前と顔の一致不一致など、デメリットも発生しています。
さらに、成果主義やジョブ型雇用への移行により、スキルアップへの不安や給与への懸念も存在します。
会社員の仕事への意欲が低下
会社側は、社員に出社を要請していますが、管理職は社員の強い管理に難しさを感じています。その結果、社員は義務感のみで仕事に取り組み、困難や面倒なことを避ける傾向が強まっています。
こうした状況を改善するため、会社は働きやすい環境整備を進めていますが、情報収集や仕事の調整における社員の負担増加、費用負担の増加、面倒くささと感じることなどが課題として挙げられます。
さらに、在宅勤務の増加は、お客様の現場や社内にいない状況を招き、緊張感の醸成や異動・転勤の影響への鈍感化につながり、仕事やお客様への貢献意欲の低下にもつながっています。
お客様へのサービスレベルが最悪
在宅勤務の増加は、会社や部署間のコミュニケーション不足にもつながっています。細かな情報共有が滞り、お客様から見ると対応がバラバラに見えたり、サービス品質が低下したりする可能性があります。
密なコミュニケーションによる質の高いサービス提供を目指す会社にとって、在宅勤務と出社の混在は情報共有や管理職の情報統制を難しくしており、社員からの改善策提案も少ない現状は、解決策を見つけるのが難しい状況を生み出しています。
人権意識の高まりが過剰レベルに到達
以前は当たり前だった対面でのコミュニケーションが減少し、相手への配慮や建設的な議論のための気遣いが不足しています。
人権意識の高まりにより、管理職や幹部はパワハラを恐れて、在宅勤務中の社員を厳しく監督したり、直接指導したりすることが難しくなっています。
改善したいが人手不足
こうした問題解決には、在宅勤務に適した人材選別や、出社と在宅の両立を可能とする幹部・社員の育成が必要となります。しかし現状では、リーダー層の負担増加や育成体制の不足が課題となっています。
未だに甘くて緩い仕事のやり方が継続中
コロナ禍における緩やかな管理体制は、社員の楽な生活習慣や教育意識の低下を招きました。
コロナ禍終息後一年、会社や組織は伸び悩んでいる社員を育成する時間や余裕を失い、新人や中途採用者の育成も進んでいません。
縦割りの仕事体制は、社員の視野を狭め、将来を見据えた意識醸成を阻害しています。
会社で放置される社員が大発生
コロナ禍後の様々なトラブルは、社員に理解されず放置される可能性があります。
このままでは、業績評価の軸が曖昧になり、適切なフィードバックや顧客満足度、売上、予算、作業の予測・実績把握への意欲も低下し、会社の発展が阻害される可能性もあります。
会社はリーダー層の負担軽減や育成体制整備、社員は会社が求める能力の習得に努める必要があります。
もうやめよう、会社まかせのキャリアアップ
コロナ禍を経て、会社員を取り巻く環境は大きく変化しました。
かつてのように会社がスキルアップを支援する時代は終わり、個人の努力が求められています。
樋口研究室は、読者に対して、変化を理解し、キャリアアップにつなげていくことを期待しています。