1.企業は独占と寡占で利益を得る
GAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)の独占や寡占の状態を、詳しく知ろうと思って、この本を読むと、少しがっかりするかもしれません。
この本には、現代史の流れのなかで、この書評を執筆している2021年7月以降に、GAFAやビックテックと呼ばれている、IT業界の巨大企業が、どのように私たちの生活や経済に、関係に影響を及ぼしていくのか。
そして、GAFAに限らず、グローバルの巨大企業が、2021年以降の将来、どのように独占や寡占を手に入れ、どんな形に変化していくのか。
そういった、予測が書かれている本です。
2.著者が米国の政府のテクノロジー補佐官
この本の発刊日は、2021年4月ですので、世界中で、感染症が拡大局面にある最中に、世に出た本です。
ですから、内容はとても新鮮です。
著者は、米国人の1972年生まれの法律学校の教授です。
興味深いのは、著者はこの2021年3月に、米国のバイデン政権のテクノロジー政策担当チームの補佐官に任命されました。
著者は法律(とくに反トラスト法)やテクノロジーの専門家であり、ITの巨大企業を、国の政策の中で、効果的にテクノロジーを使っていけばいいのか。それを考える最前線にいます。
ですので、本を読んでいると、すぐ直近で、起こりそうなことばかりなので、かなりわくわく、ドキドキする内容で内容が書かれています。
3.独占や寡占する企業は意外と多い
この本は、GAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)や、そこにマイクロソフトを入れたビックテックに内容を特化して書かれているわけではありません。
南北戦争以降、農業や畜産、製造、流通の業界で、独占と寡占が存在することは、自然な流れでした。
著者は、当時の独占や寡占の状態は、庶民が、貧困や差別から逃れるために、必要な手段だったと説明しています。
それが2度の大きな戦争を経て、色々な形で変化したといいます。
企業や業界が、独占と寡占の状態に入ると、そこに大きな富と権利が発生して、汚職や金権のきっかけになり、商品価格をコントロール出来なくなり、自由な経済活動を阻害する要因になることは、歴史が証明している。そう著者は、断言しています。
独占や寡占の状態は、良いことではないですが、著者によれば、ビックテック以外にも、ビールや、メガネ、化学、航空、電気通信、製薬の業界で、今なお、独占や寡占の大きな力を持つ巨大企業が存在している内容を詳しく説明しています。
メガネの業界で、独占と寡占が生じている!?
思いもつかないことですが、本書で現実を知ると、とても勉強になります。
そして、今後どうすれば、独占や寡占の状態から逃れることができるのか。
本書で、その難問を解決するために果敢にアプローチしていきます。
4.独占と寡占をしてダメだった国が日本
1960年代に、アメリカでは巨大コンピュータ企業のIBMが、大型コンピュータが独占禁止法の訴訟の対象になり、企業解体の標的にされました。
IBMにとって、その経験が、小型コンピュータのPCATという自由な、オープンソースやPCやソフトウェア産業大きく発展させたといいます。
その後、アメリカは継続して、巨大通信大手のAT&Tが企業解体され、小さな通信企業がたくさん生まれ、多種多様な通信イノベーションを生み出されました。
日本の1990年代。当時の日本は、ウォークマンやガラケーなど、世界を牛耳るような製品を生み出しています。
ですが、1990年代の30年前に、日本は画期的なネットやITのイノベーションが生まれませんでした。
著者は、その敗因を、戦後に独占や寡占を謳歌した財閥や系列失敗したといいます。
過去の独占や寡占の名残りがあって、今から過去の30年、世界中のネットやITの改革の流れに乗り遅れた。そう分析しています。
それにも関わらず、日本以外の国外で急速に拡大していたインターネットやソフトウェアのサービス技術の拡大を見逃していたといいます。
日本では、特殊で一点集中の技術に特化してしまった、例えばNTTやNEC、富士通など企業が、悪い独占や寡占の状態を作ってしまい、革新的なイノベーションを作る機会を、摘み取ってしまったといいます。
5.相手を飲み込み成長する巨大企業
独占と寡占の状態は、企業が競合する相手を吸収や合併、買収して飲み込みながら、大きな独占や寡占の力を成長させていく。それが基本パターンだと著者はいいます。
2000年になって、フェイスブックは、自身の企業の競合になりそうな、ノートパッドやインスタグラムなど企業を、多額の資金で買収して巨大化していきます。
また、グーグルがYouTubeを買収し、マップや口コミを創出したスタートアップ企業を、多額の資金で買収して巨大化していきます。
私は、本書を読んでいるうちに、GAFAやビッグテックは、単一のIT企業ではなくて、完全な小さな会社の複合企業なんだ。そういうことがわかりました。
ではどうして、上記のような行動を、独占禁止法の法律で、止めることが出来なかったのか。
著者はその理由として、2000年以降、国が、独占や寡占の状態になると、逆にサービスの質がアップして、消費者利益に貢献するので、積極的に、独占禁止法の訴訟を起こさなかった。そう説明しています。
それと、独占企業は、相手の企業に、多額の買収金額を提示して、相手企業の経営陣を手なづけた。そう説明しています。
また、2000年以降、国や法の専門家が、急速なテクノロジーの発展スピードが速くて、その理解についてこれなかった。そう説明しています。
2000年に入って、本来なら、生活や経済を正しく規制すべき、国の当局が、独占禁止法のたずなを、ゆるめていたので、独占禁止法の網をかぶせることができなかった。それが原因だと、著者は分析しています。
その結果、現在では、巨額の富や権力が、GAFAやビックテックに集中し、その恩恵が、消費者や国民に十分に再配分されず、貧困や格差の拡大を、招いているのが、現在の、独占と寡占の状態である。そう筆者は分析しています。
6.今後どうなる!?GAFAやビッグテック
イノベーションを作り出す、スタートアップ企業を、独占企業が飲み込んで、吸収してしまうような行動は、経済の発展にマイナスになる可能性があり、これをやめていくのが、重要な課題になってくるでしょう。
著者は、2021年3月より、アメリカのバイデン政権の下で、テクノロジー補佐として活躍することになりました
著者は、上記の適正な、富の分配を理念として、GAFAやビッグテックに対し、果敢に独占禁止法の訴訟を適用していて、今後、より大きな訴訟を発生させるように思われます。
ヨーロッパでは、2010年という早い時期から、GAFAやビックテックに対して、独占禁止法の訴訟を発生させています。
この書評を書いている10年後に、GAFAやビッグテックが、どのような形に生まれ変わるのか。
私たちの生活が良くなるか、あるいは悪くなるのか。
そういう経済活動に直結したテーマになるように、思われます。
7.GAFAやビックテックはIT企業といえるのか
最後になりますが、私が本書を読んで、怖いなあ・・、とか思ったことがあります。
それは、GAFAやビッグテックの行動が、言論の流れを、意識的にコントロールしたり、2020年後半の、アメリカのトランプ元大統領の選挙ので、ネットの利用者の行動を、心理的に誘導するかもしれない。そういうことです。
それと、GAFAやビッグテックのような独占や寡占の状況は、中国では、全く関係なくて、中国は独自で、ビッグテックが存在しているということです。
中国は、アメリカなどネット技術が、中国の国力でブロックされているのは、読者のみなさんもご存じでしょう。
中国では、アメリカを代表とするGAFAやビッグテックのパワーが、かかっていなくて、中国独自で、バイドウ(検索)やテンセント(通販)、ウェイボ(SNS)、ウイチャット(メッセージ)が、独占企業として存在しているということです。
著者は、上記の現実に関して、本書の中で言及しており、IT業界の独占と寡占は、に、大きくかかわる潮流になると、分析しています。
地球上には、アメリカ主流のビッグテックと、中国主流のビッグテックの、ふたつの潮流があり、それらが政治や経済、国防に、悪い影響を及ぼすかもしれないことを、私たちも関心をもっていないと、いけないと感じました。
私は、本書を読み終えて、ひとつ感じました。GAFAやビックテックは、本当にIT業界といえるのだろうか・・。
GAFAやビッグテックは、私たちの知らないところで、こっそりとデータを集めて、それに付加価値をつけたサービスで利益を得ています。
それがIT企業のあるべき姿として、本当にいいのかなあ・・。
IT企業は、私たちの生活や仕事にやくに立つ、ハードウェアやソフトウェアを、売ってほしいなあ・・。
本書を読み終えて、私は上記のようなことを、感じました。