ちょっといい話

定年退職を待つのが良いか。生涯現役を狙うのが良いか。

1.多くの会社で「賃金の見直し」が始まっています。

日本の会社の人事制度は、昭和から平成になり、そして新しく令和の時代になっても、以下のようなみっつの特徴があると、言われています。

最初は「年功序列型賃金」です。次に「終身雇用」です。最後に「組合」です。

このような形態は、日本の戦後の復興のもと、確立されてきたと言われています。

しかし景気や経営環境が変化するなかで、上記のような賃金カーブと、会社に対する社員の貢献度のギャップが大きくなってきました。

こういった状況を受けて、多くの会社で、賃金制度や評価制度の見直しをし始めています。会社全体の予算(収入と支出)のバランスを取るような動きが始まってきています。

その内容は、以下のみっつのようなものが代表的なものです。

■最初は「年功主義」から「職能主義」へ賃金の基本的な考え方を変更することです。

■次に「経験度」から「貢献度」へ評価の尺度を変更することです。

■最後は「転勤」から「地域限定」へ人材の活用度合に応じた賃金にすることです。

 

2.社員の等級と給料の関係は?

自分の会社では、賃金制度の見直しなんて、まだ先の話だ、とか思っていると、会社で突然そういう動きが発生するとかあります。

賃金制度の見直しは、どういうきっかけでスタートするかというと、社員の等級の見直しからスタートすることが多いと言われています。

あなたの会社に「等級」や「グレード」「職能」という人事評価の仕組みがありませんか。これらはみな、同じような意味です。例えば、ある会社では等級を1級とか2級、3級とか数字で表現しています。

またアルファベットでJとかSとかMと表現している会社もあれば、主務とか主事、参事というふうに日本語で表現している会社もあります。

会社によって色々な表現がありますが「等級制度」や「職能制度」というのは、社員に等級を付与して、それを会社の「賃金表」に当てはめて給料を決める仕組みのことです。

3.将来、自分の給料をアップさせるためには。

社員の給料は、社員に付与された等級を、人事で決められている「賃金表(後述)」にあてはめて決定されます。

等級や職能の見直しがあると、多くの場合、賃金表に書かれている給料の数字(賃金体系)も見直しされます。

近年、賃金表が見直しされる時、改定後の賃金表の値は、改定前の賃金表の値よりも「低め」に設定されることが多くなってきました(だが上位の等級に上がるほど賃金の「伸び率」が高い)。

基本的に、賃金の見直しは「等級の見直し」と「賃金表の見直し」がペアで実行されます。

まず等級の見直しですが、上司が再度、社員と面談するなどして、新たな等級を付与する作業をします。

その時、あなたは少し驚くかもしれませんが、現在のあなたの給料より、若干、低めの給料になるような新しい等級が付与されるケースが多いです。

つまり、新たに付与された等級になってしまうと、ご自身の給料が下がってしまうことになります。

いきなり、新しい等級が付与されて、給料カットになると、社員の不公平感が高まるとか、モチベーション下がって、仕事の効率が下がります。

それを避けるために、新しい等級が付与されたら、社員に対して1年とか2年間の「経過期間」が与えられます。この「経過期間」の間は、新しい等級の効果が一時停止されていて、過去の等級で評価されます。

ですから、いきなり給料が減ってしまうことは、ありません。

上記の「経過期間」の間に、ご自身の能力や経験をアップさせて、次回の評価の時に上位の等級に引き上げることができると、ご自身の給料をアップさせることが出来ます。

でもその反対に「現状維持」とか「変化無いまま」で仕事を継続させると、給料は下がります。

このように、賃金制度を改定する裏側には、社員コスト削減の、厳しい現実があるようです。

4.会社はあなたをどのように評価するのか。

賃金制度の見直しが始まると、ご自身の仕事の評価が、たいへん気になってくると思います。

自分の仕事ぶりを、会社は適切に評価してくれるだろうか。誰もがそう感じると思います。

会社で言う「評価する」「考課する」「査定する」という言葉があると思います。

これらはみな、同じ意味の言葉です。

会社が会社員を評価する時は、あなたの仕事ぶりを、以下のみっつの項目に分けて観察します。

■最初に、あなたの仕事の「実績」を観察します。

■次に、あなたの仕事を遂行する「能力」を観察します。

■最後に、あなたの仕事に対する「態度」を観察します。

上記のみっつの項目に関して、会社で「目標管理」の評価の仕組みを採用している会社では、社員に対して「目標設定項目」とか「チャレンジ項目」というような表現で、あなたご自身に「実績」「能力」「態度」を整理させて、そして整理させた内容を「達成宣言」をさせます。

その宣言の内容を、あなたと上司が、半年とか一年など一定期間ごと進捗状況をチェックしながら、あなたを評価していきます。

注意ですが、会社の評価には、上記のみっつの項目に加えて、会社の「在籍年数」や「上司の推薦」、「論文」や「公的資格」など評価の「加点要素」が決められていることが多いと思います。

時々、社員のみなさんから聞く言葉があります。自分は他の同僚よりたくさん仕事しているのに評価されていないとか、自分より貢献度の低い同僚や後輩が昇進早い、自分のやっている仕事の方が複雑なのに相手よりも給料が低い。

以上のように嘆く社員もいらっしゃいますが、評価の時に「実績」「能力」「態度」以外の加点要素が満たされていないケースが見受けられます。実戦で力を磨いても、戦略とか運用などバランス感覚を表す加点要素が無いと、会社で偉くなることはできません。

以上のような評価がおこなわれて社員の「等級」が決まります。そしてそれが次に説明する「賃金表」とマッチングされて、あなたの給料が決まります。

「賃金表」というのは、例えば等級が「A」社員には賃金(基本給の月額)を20万円から30万円の幅で支給する、そういうふうに記載されています。

なぜ同一の等級で賃金の幅があるかというと、会社によって、同一の等級内で更に「上」、「中」、「下」のような高低の差が決められていることが多いからです。

よって等級「A」の社員は、その等級の中でも序列の評価がされていて、「Aの上(Aプラス)」が30万円、「Aの中(Aイコール)」が25万円、「Aの下(Aマイナス)」が20万円というふうに、給料が決められます。

5.賃金制度は会社の組織と体制に連動している。

賃金制度の見直しを行う時は、以下のような、会社の組織や体制、採用制度の見直しが始まることが多いです。

■「新卒」から「中途採用」へ即戦力を重視した体制にする。

■「生え抜き」から「実力のある(中途採用)管理職」へ組織の体質の改善をする。

■「ベテラン」から「若手」へ役職(ポジション)を変更し若返りをする。

■「男性」から「女性」へ女性活用を積極的に実施する。

会社が、組織の体制を頻繁に変更する時は、会社の賃金表が関係しているケースがあります。

多くの会社では、事業部や課の単位ごとに「給料の予算」が決められています。

この「給料の予算」は、次年度が始まる半年ぐらい前から、年間の売り上げ見積もりやシミュレーションを繰り返し精査して、お客様から得られる収入をもとに決定されます。

よって見積もりで、次年度の売り上げがアップしそうなら「給料の予算」が大きくなり、売り上げ減少なら「給料の予算」が小さくなります。

この次年度の見積もりが、極端に甘すぎて、大きな「給料の予算」を確保したにも関わらず、売り上げが低迷するなどなってしまうと、予算が赤字になってしまうとか、予算以上に事業部や課に配属する人員が多い状態(過剰)になります。

上記の状況になってくると、会社で無理な売り上げ確保を狙うとか、給料カットやリストラを実施して、社員の賃金を「給料の予算」内に収めようとします。

景気や経営の変化で、会社の売り上げが「大きく」なったり「小さく」なったりします。

その状況に合わせて経営者は、組織や体制を大きく変更させます。会社で体制変更が頻繁に実行されるケースでは、まさに会社の新陳代謝が起きている状況でもあります。

こういう時は、社員としても気が気にならなくなって、大変な状況ではないかと感じます。

6.定年退職を待つか。生涯現役を狙うか。

以上のように、会社で等級がどれぐらいで、いくらの給料をもらっているか、それは会社員が会社に対する貢献度の指標になります。

そういった意味で、社員は会社員でいるかぎり、昇進や昇格、昇給を継続させていくことが大切です。

あなたは、ご自身が務めている会社の求めている人材像を、きちんと説明することができますか。

会社員として、ご自身のキャリアを伸ばしていくためには、会社の経営ビジョンや等級や賃金の仕組みを、きちんと理解していることが大切です。

また、会社員として成功するためは、あなたに対する会社の部署や課の、期待値とか役割(ロールとか言います)をしっかり理解しながら仕事をすることが大切です。

とはいえ、会社員になることだけが仕事ではなくて「独立する」とか「起業する」ということも仕事のひとつです。

現在、会社員をやっていて、定年を迎える前に「独立したい」とか「起業したい」とか、そう考えている方は、いらっしゃいますか。そういう方は、会社員の時代に手に入る「知識」「経験」「スキル」を独立や企業後に活用できることが理想的です。

7.令和(れいわ)の時代、自分のキャリアは、早い時期から考えましょう。

会社員を継続して「定年退職」を迎えるのがいいか。それとも会社員を卒業して「生涯現役」を狙うのがいいか。

上記の判断は、ギリギリまで先延ばししないで、早いうち(年令の若い時)から考えて、準備しておくことが大切だと感じます。

いつもご自身の将来あるべき姿を考えながら、仕事を継続していくように、お願いいたします。

樋口研究室からメッセージ

仕事を継続する行動はスポーツや運動で記録を伸ばしていく行動と似ています。スポーツ選手には必ずコーチがいて選手が間違った作業をしていないか、効率的に作業をしているか、常にあなたをアセスメント(観察)しながらアドバイスやサポートをしています。樋口研究室はスポーツだけでなく仕事をする時もコーチが必要だと考えています。ひとりで仕事を進めていくことは大切ですが日々の仕事の内容はひとりで太刀打ち出来ないほど複雑多岐で難しくなってきています。あなたご自身にコーチを採用してコーチと一緒に前進することであなたの前進力や行動力、突破力が二倍、三倍になると感じます。その結果、あなたが目標に到達する時間がひとりで行動するより二分の一とか三分の一に短縮されると思います。樋口研究室ではあなたのキャリア作りに役立つコーチングやセミナー、レッスンを数多く提供しています。この機会にぜひ樋口研究室をご活用いただけますと幸いです。

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